たちまちWASABI

NYC郊外暮らしラプソディ~アートと自然と一緒に

マウントラッシュモアとクレイジーホースの思い出

独立記念日らしく(?)、音から察するにロケット花火くらいのものから、運動会の朝に鳴っていた号砲くらいあろう大きな音がするもの、大輪の光が飛び散る花火などが、住宅地の我が家あたりでも昼間っから各家庭の裏庭で打ち上げられている一日でした。
コロナで盛大な花火大会もキャンセルされて、パーティもできず、その憂さ晴らしか。こんな白昼に音ばっかりの打ち上げやるより、私は暗い中に色とりどりで見える手持ち花火や線香花火の方がよっぽどか良いけどなぁ、と昼間は思っていました。

今朝のニュース↓

www.bbc.comマウントラッシュモアでの昨夜の式典について。
人種差別に対する抗議活動が続くなか迎えた独立記念日にも、再び「人々の分断を促すような、抗議者への批判」が高らかに謳われたようです。

リンク記事にもある通り、歴代大統領の巨大な彫刻で有名なマウントラッシュモアは、もともとはネイティブアメリカンのもの。神の山として崇められていた場所です。
その神の山は白人に奪われ、大統領4人の姿が刻まれカタチを変えられてしまいました。

そんな「奪われた神聖な地」でアメリカの"愛国心"を示す式典。集まるのは大勢のマスク着用を拒否する大統領支持者達。
この地のネイティブアメリカンの人々は式典に反対・抗議をし続けていたのです。

しかしネイティブアメリカンの反対・抗議に対して、大統領支持者の中には「引っ込んでろ!自分の国に帰れ!」と衝突する声もあったのだとか。

・・・自分の国って。

白人至上主義者がよく口にする、白人以外の人(たとえアメリカ生まれであっても)への「国へ帰れ」のフレーズ。
誰よりも前からこの地に住んでいたネイティブアメリカンに対してそれを堂々と言っちゃうなんて、唖然とします。



さて、時は遡り、1997年7月。
日本でまだ学生だった私は、学校のサマープログラムに参加して初めてアメリカに来ました。
ネブラスカ州オマハというところでホームステイをしながら英語のクラスに出席たりアクティビティに参加する中、隣のサウスダコタ州へ観光フィールドトリップにも行き、色々訪れたスポットの中の一つが、マウントラッシュモア。

f:id:RockinWasabi:20200705131652j:plain
f:id:RockinWasabi:20200705131643j:plain
1997年7月12日

両手にはバッファローが潜む広い草原、先が見えないほど真っすぐ伸びるハイウェイをひた走り、「わー!アメリカっぽいなー♪」なんて楽しく浮かれた気分の若くておバカだった私。
そうして到着したマウントラッシュモアも「Deep Purpleのジャケットの本物がここに♪アメリカってスケールでっかいなぁ!」くらいの感想で、そこがどんな場所だったのかもよく理解せず、今思えばお恥ずかしい限りです。

それから何年も経ったある時、とあるアメリカ人との会話でマウントラッシュモアの話になり、その人が改めて「ネイティブアメリカンの神聖な山を奪って作られたモニュメントなのだ」と教えてくれました。それから見る目が変わりました。

今朝のニュースを知り、今日改めてもう少しマウントラッシュモアのことを調べてみると、スミソニアンからこんな記事も:

www.smithsonianmag.com

モニュメントの制作者Gutzon Borglumは、白人至上主義団体クー・クラックス・クランと繋がりがあり、マウントラッシュモアの彫刻も同団体からの出資を得ていた、という話です。Gutzon Borglum自身も、ネイティブアメリカンは信用できないと、白人至上主義寄りの差別的な考えを持っていたそうです。



1997年のサウスダコタフィールドトリップで訪れた場所の中に、マウントラッシュモアの近くに位置する、クレイジーホースメモリアルもありました。

f:id:RockinWasabi:20200705131637j:plain

1997年7月12日 出来上がりは手前の模型のようになる予定

侵略してくる白人群と戦い続けたラコタ族の戦士、クレイジーホースを山に刻むモニュメントです。
クレイジーホースは、最後は開拓者群に殺害されてしまうのですが、常に部族の人々の生活を守る事を第一に戦った英雄だったそうです。

マウントラッシュモアと同じブラックヒルズ山脈にある、サンダーヘッド山に制作が始まったのが1948年。完成すればマウントラッシュモアよりも大きい、世界で一番巨大なモニュメントとなる予定ですが、現在も制作途中。
1997年に訪れた時点で「完成まで50年」と言われていたのですが、当時の写真と現在の写真を比較しても、制作はあまり進んでいないような・・・。

確かにとてもスローペースのようで、2018年の時点で、今見えかけている「頭、肩、腕は15年後には完成するはず」と言われていたのだとか。

www.businessinsider.com

ということは、胴体や馬はまだまだ時間がかかるのでしょう。
このリンク記事にもありますが、もとはラコタ酋長の発案で始まったクレイジーホース彫刻プロジェクトですが、長い時間が経つうちに「目的がネイティブアメリカンを称える事から、制作する家族のビジネス利益に変わってきているのではないか?」とか、「同じネイティブアメリカンの中でも、この山に彫刻をする制作を良いこととは思わない」などの声もあるのだそうです。

1997年に訪れた時は、「ネイティブアメリカンのヒーローをたたえる彫刻の壮大なプロジェクト!」という印象のみで見ていましたが、、、
マウントラッシュモアとの関係や、やはり神聖な自然の山を破壊してそこにモニュメントをつくるという行為への考え方の違い、主導者が変わりながら長く続く制作に出てくる懸念など... 複数の側面があって色々な意見が絡んでいるのだと分かりました。


先にリンクしたスミソニアンの記事の最後...
アメリカは自らの成功で築かれた国と思いたいところだが、裏を返せばこれは非常に自己中心的なことであり、それがこの国の発展の礎になっている』
的なこと(簡易な訳ですが)が言われています。

今日、独立記念日を祝った『アメリカ』は、そんなふうにして成ってきた国。
朝のニュースを見て、昔のフィールドトリップを思い出し、改めてマウントラッシュモアやクレイジーホースの事を知り、、、
なんだか今年は、これまでにない思いの巡らせ方をした独立記念日になりました。


追記:
深夜過ぎましたが、まだチラホラと花火が打ちあがっています。
幸い、音もだいぶ遠退いてきたのでもう寝るけどさ~、騒音被害とか考えずにやってるんでしょうね。夜中に、そんなにしてまで上げたいのか、花火を。。。

.......................................................................... 

いつも最後まで読んでいただきありがとうございます。
↓ ブログランキングへの参加を始めたので、ぜひ1クリックして応援をお願いします!

にほんブログ村 海外生活ブログ ニューヨーク情報へ
にほんブログ村