たちまちWASABI

NYC郊外暮らしラプソディ~アートと自然と一緒に

長くなりましたが...私の妄想話

そのオフィスには、醤油顔の従業員とソース顔の従業員がいました。
”ヒラ社員”は醤油・ソース顔の両方がいますが、管理職レベルはほぼみんな醤油顔です。

ある日の朝、ソース顔社員の一人が、自分のデスクでせっせと仕事をしながら、ラップに包んだ小さな塩おにぎりを食べていました。
ランチ休憩時間以外、デスクでの食事は禁止されていますが、その日の朝は子供の支度と保育園への送りで時間がかかってしまい、朝食を取り損ねたため、持参したおにぎりを一つだけデスクでこっそり急いで食べていたのです。
しかし運悪く、醤油顔の係長に見つかってしまいました。
係長は「規則違反だぞ!罰として、今日は食事休憩は抜きだ!」と告げ、ソース顔社員の彼は夜の退社まで休憩無しで働くこととなりました。

午前10時頃、あちらのデスクから醤油顔の同僚達がおやつを食べている音が聞こえます。ポテトチップスをバリバリボリボリと。
そこに通りがかった係長、おやつを咎めることなく、それどころが「課長もどうぞ♪」と醤油顔の同僚から差し出されたポテトチップスを一緒に食べ始め、「これ旨いやつだよなー!」と談笑していました。

またある日、ソース顔社員の一人が、勤務時間中に何回もお手洗いに行くことがありました。その日彼は体調不良だったのですが、しんどいながら仕事に来ていたのです。
それを見た係長は、「何度もデスクから離れて何をしているんだ!お前らソース顔達は、これだからいかん!」と、彼が仕事を抜け出しサボっていると決めつけ、不在の理由を聞こうともしません。
これをきっかけにこのソース顔社員は「怠慢」と判断され、パートに降格し勤務時間とその給与を大幅に減らされてしまいました。

一方、彼の隣の醤油顔社員も日頃から何度も席を外していましたが、タバコを吸いにいってみたりスマホをいじってみたり...と、思い付きの離席でした。
しかし係長は「彼も仕事でストレスが溜まっているんだろう。休憩も必要だ。」と、彼を罰することはありませんでした。

そんな様子を見ていたあるソース顔社員が「これはあまりに不公平では?」と思い、係長の席を訪れます。
「係長、お忙しいところすみません。少々お話があるのですが... 」
話をしようとしますが、係長は「それは君たちが口を挟むことではないぞ。なんのつもりだ!これ以上言うなら減給だ!」と耳をかそうともしてくれません。"減給"などと突き付けられると、ソース顔社員は引き下がるしかありませんでした。

このオフィス部署は長年の間、ソース顔社員への待遇が悪く醤油顔社員との格差があることで知られています。
ソース顔社員は、減給や降格などの罰、ときには暴力的な対応やハラスメントの圧力を受け続けていますが、「他への再就職は難しい」「運良く別の部署へ移れたとしても、どこも同じような不公平な待遇」「無収入になってしまっては生活が出来ない」という理由から、なかなかここを離れることができません。

そんな時、事件が起こりました。
規則で副業・他の仕事との掛け持ちが禁じられていましたが、あるソース顔社員が退社後に別のアルバイトをしていたことが係長にバレてしまったのです。
「これだから、ソース顔達は信用ならん!いつもコソコソと!また規則違反か!」と係長はこの社員を咎めます。
この社員、実は過去にとても些細なミスからの罰で減給を受けて以来家計が苦しくなり、家賃・生活費を払い子供を育てるために、昼夜を掛け持ちで働いていたのです。
家族を養わなければならない、その気持ちが胸にこみ上げ、彼はいつもに無い強めの口調でこの事情を係長へ訴えようとします。
しかしこれが係長を逆撫でし、「そら見ろ!ソース顔達はそうやって怒るんだ。危険な人間ばかりだ!」と言われてしまいます。
そして、ソース顔社員が引き下がることなく訴え続けてくる姿を見た係長は、彼の言動を暴力で鎮めようとし暴行を与え、社員の訴えの声はかき消され、声だけでなくついには命まで絶たれてしまいました。

その後しばらくの間、係長は更に上の管理職者達との調査・話し合いの時間を持たされていましたが、それ以上のことは無く、やがてオフィスへ復帰してきました。

間もなく、事件の真相を知ったその他のソース顔社員達は、こんな理不尽な事をこのまま放ってはおけないと、人事部へ訴えます。
しかし、人事部は彼らに対し「これ以上問題を起こすんじゃない。この件はもう終わったことだ。忘れて気持ちを切り替えろ。」と言うだけです。

ソース顔社員は労働組合に入らせてもらえなかったので、可能な限り非暴力的な方法で訴えを伝えるため、会社の上層部宛に自分達で手紙を書いて送りましたが、返事は「調査する」のみ。進展はありません。

何をしても無駄なのか?と感じ始めたソース顔社員達。残る可能な方法として、皆で就業中に仕事を止めてオフィスから静かに立ち去る、というストライキまで起こしましたが...
その結果「ソース顔社員は全員クビだ!ストライキに参加した者は即日!参加していない者は今月中に!」という一方的な連帯責任の解雇を引き起こすことになりました。

ストライキに参加しオフィスを立ち去っていたソース顔社員達は、その足でオフィスへ戻って来ました...が、今回はオフィスとの話し合いのためではありません。
何をしても聞いてもらえない、いくら辛抱強くお願いをしても取り合ってもらえない。
それならもうお行儀良くする必要などなく、分かってもらうには暴力しかない。自分たちが上司から受けてきたように...
戻って来た彼らは、会社のビルもろともを攻撃破壊しはじめたのです。

ビルの中にはまだ、その日のストライキに参加しなったソース顔社員達もいましたが、暴動は会社ビルの各所を破壊していきました。

そんな中、会社の社長は「みんなが一緒に働けるようにするべきだ。仲良くしたまえ。」とだけ言い、社長室に籠り電気も消して身を潜めてしまいました。


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これがいまのアメリカで起きている暴動の、私なりの解釈です。
(※私の完全に個人的で勝手な"妄想"の解釈で書きました。無理のある部分ばかりですが、フィクションですのでご容赦を。)

暴動の始まりから数日が経ち、デモ隊側に寄り添うように膝をつく警官の姿や、逆にそれでもなお無差別に"そこにいた人"をただ逮捕したりパトカーでデモ隊に突っ込む警察の様子、ずっと暴力無く静かに訴え続ける人々、ただ暴動を不必要に煽っているのではと思われる人達のこと、、、が色々と伝えられています。

ただ、この暴動を鎮め今後二度と起こらないようにする方法はただ一つ、「人種差別とそれに基づいた警官の過剰な暴力を止めること」のみ。

なぜできないのか...。
暴動は支持しない。だけど、この人種差別の問題が解決しない限り、今後また暴動が起こってしまっても仕方がない気がする。
何度も同じようなことが繰り返され、被害者は肌の色だけで抑圧され続けて、なのにいまだに何も変わらないのだから。

私が渡米して間もない頃、こちらで出会った知人に黒人差別に関するパネルディスカッションに誘われて行ったことがあります。
黒人の若者向けに弁護士さんがアドバイスを送っていた中に、「警察に止められたら、とにかく落ち着いておとなしく従いなさい。何も悪い事をしていなくても、絶対にいきがったり取り乱したりしないように自分をしっかりと持ち、まずは従いなさい。」と言っていたのがアメリカ初心者の私には衝撃であり印象的でした。
悪い事をしたかしていないかは、はじめの問題ではないのです。見た目が黒人であることだけで「悪い」と決めてかかられるので、スタート地点が違うということ。
これ以上にコトを悪化させないよう、とにかく警察に従えと大人弁護士さんから若者へアドバイスされていました。

そんなふうに、理不尽でも我慢して、訴えといえばマナー良くすることを続けて、、、それでも酷い扱いをされて一向に改善されないなら、それは怒るよ。


人間を肌の色や見た目だけで判断する差別は、本当に嫌いです。本当に無くなってくれと思っています。


いつも同様、取り留め無く、そして長々となりましたが、読んでくださってありがとうございました。

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